見当識障害とは、「時・場所・人」の順で、わからなくなる※中核症状の一つです。
初期には、時間の感覚がわからなくなります。今が朝か夜かわからなくなる。季節に合う服装が出来なくなるなどの症状が見られます。
次に場所がわからなくなります。慣れた道でも迷子になってしまったり、自宅のトイレの場所がわからなくなってしまうことがあります。
認知症が進むと、目の前にいる人が誰だかわからなくなります。自分の年齢も曖昧になります。
・時計、カレンダーが役に立つ
表示が目立ち、決まった時間に音がなる時計。今日が何日か、予定はいつか、カレンダーに印をつけるなど、目や耳で生活の流れやリズムを維持できるような工夫が必要です。
・トイレに「トイレ」と紙に書いて貼る
トイレとわかるような文字や絵を扉に大きく紙に書いて貼るだけで解決できることもあります。トイレの場所がわからないことで、排尿が間に合わず「失禁」ということになると、自尊心が傷ついてしまいます。様々な工夫をすることで、それを回避できることがあります。
見当識障害には波があります。今日わからなくても明日わかることがあります。どこまで理解しているか確認するために、「わかる?」「この人誰?」と聞いてしまいがちです。こういった質問によって、自信と意欲を失くしてしまいます。わからないことをタイミングよくフォローすることで、安心と信頼を得ることができます。
介護する方に一番にして欲しいことは、「自分に見当識障害があったら、どういう気持ちになるか」を想像することです。介護者のストレスも減り、寄り添ってケアする第一歩になると思います。
※中核症状:記憶や判断力の低下など、日常生活に支障をきたすような脳の機能が全体的に低下する状態です。