物忘れがよくなることがあります。
「偽性認知症」という症状をご存知でしょうか?実際には知能低下がないにもかかわらず、あたかも認知症であるような症状です。
偽性認知症の症状
・軽度の記憶障害
・精神的に不安定になる
・言動がまとまらなくなる
・活動性の低下
・意思決定が難しくなる。
うつ病かもしれない~事例~
物忘れに悩んで、物忘れが外来を受診された方がいらっしゃいます。
※認知症テストは、アルツハイマー型認知症の初期段階です。
物忘れに対してとても強い不安を抱えていたことから、※うつ病の評価尺度で調べると、高得点が出ました。うつの合併も疑われるため、抗うつ剤を内服して頂くことになりました。併せて、運動指導も行われました。
3か月後には、うつの評価尺度は下がり(うつ軽度)、認知機能は向上しました。
認知症の状態から脱却したのです。
※認知症テスト:記憶や判断力などの認知機能を評価するための簡単な検査
・長谷川式簡易知能評価スケール:記憶を中心としたおおよその認知機能障害の有無
を判断する。
・MMSE(ミニメンタルステート検査):認知症の中核症状(認知症の症状の中核を
なすもの)である認知機能障害の評価で使
われる。
※うつ病の評価尺度:うつ症状の重さや、状態を客観的に測るための質問表です。主に、気分の落ち込
みや睡眠状態、食欲などを点数化して、うつ病の有無やその程度を評価します。
不安やうつが強い場合
不安やうつが強い場合には、そこを改善することを検討します。改善すると、記憶障害が改善する可能性があります。
「心配する」ことが、脳の海馬(記憶をつかさどる脳の部位)がダメージを受けます。
うつになると、その海馬が萎縮してしまうのです。
偽性認知症の原因には、次のようなものも含まれます
・強い精神的なショック
・長期にわたるストレス
・薬の副作用
・脱水
・栄養不足
多くはうつ病ですが、早期に受診することをお勧めします。
参考文献
Amazon.co.jp: 認知症ポジティブ! -脳科学でひもとく笑顔の暮らしとケアのコツ- : 山口 晴保: 本
Amazon.co.jp: 認知症ケア用語辞典 : 日本認知症ケア学会認知症ケア用語辞典編纂: 本