誰もが生きやすい地域環境とはどんなものでしょうか?
先日の認知症ケア学会のブロック大会に参加してきました。
大会で学んだことと、今まで勉強してきたことがリンクされました。
個人的な見解ですが、ご興味ありましたら読んで頂けると幸いです。
①早期発見早期絶望にならないために
②早期発見が大切である本当の理由
③これから取り組むべきこと
①早期発見早期絶望にならないために
「早期発見早期治療」が大切だということは、ずっと言われてきたことです。
しかし、早期に受診し、認知症の診断を受けた瞬間から、
「何も分からない人」、
とラベリングされてしまうのです。
そのことによって、ご本人は「自分がいては迷惑だ」等思い、何か失敗するたびに叱責を受け、うつ状態になったり、自信を失っていってしまうのです。そして、自らの発信を諦めていってしまうのです。
まずは、認知症になったら「何も分からない人」ではないということを、ご家族にかかりつけ医の先生から伝えていただきたいと思います。そして、受診後には認知症当事者の方とのピアカウンセリングにより、診断を受けたご本人の気持ちをフォローできる体制を整える必要があるかと思います。
②早期発見が大切である本当の理由
早期発見により、早い段階でこれからのことを考えたり、地域のサロンへの参加や、必要に応じて介護保険サービスへ繋げることができることで、進行を遅らせる…というようなことを耳にします。
それはそれで必要ですが、もっと本質的なことがあると思います。
それは「私は認知症である」というメタ認知(メタ認知については過去の記事を参考にしてください認知症ケア~メタ認知と社会脳~)ができるということです。認知症が進行してからでは、いわゆるメタ認知障害により、病識を持つことが困難になります。メタ認知ができることによって、自分に起こりうる危険を回避するための対策を考えることができます。例えば、記憶障害があるから何でもメモに残すようにするなどです。そして、自分が認知症であることをオープンにしていくことが必要だと思います。そのためには、地域の「認知症への理解」が絶対的に必要です。そのために、認知症サポーター養成講座を積極的に行ったり、認知症カフェを開いたり、様々な形で認知症の方が安心できる場所づくりが必要です。
その安心できる場所づくりを、地域住民主体で行っていくことで、さらに認知症の方が生きやすい環境になっていくと思います。
このような地域づくりをするために、地域住民の方に知って頂きたい大切なことは、
「認知症は他人ごとではない」
ということです。
認知症になる割合は、
65-74歳で10人に1人
75-84歳で5人に1人
85歳以上で約3人に1人から2人に1人
です。
地域住民の方一人一人が、「他人ごとでない」意識を持って頂くためにも、専門職の方、もしくは認知症当事者の方の啓発活動が必要です。
③これから取り組むべきこと
・地域住民の方への積極的な認知症の啓発活動
・認知症の方が安心して参加できる居場所づくり
・かかりつけ医の先生から「認知症は何も分からない人」でないことを、ご家族に伝える
・認知症ご本人に対するピアカウンセリング
・早期発見
「安心感のある地域環境づくり」
これは、認知症の方はもとより、地域住民の方、誰もが生きやすい地域環境ではないかと考えます。