認知症というと、記憶障害が目立ちます。しかし、ほかにもいろいろな症状(中核症状)があります。
その一つ、「遂行機能障害」。
利用者さんで、昼食作りやお皿洗いなど、積極的に行って下さっていた方が、いらっしゃいます。
最近になって、認知機能の低下が著しく、ケアの方法などを検討しています。
例えばこの昼食作り。料理には、様々な段取りがあります。まず献立を考えて、食材を選んで、食材を切って…。このような段取りを、頭の中で考えて、取り組むことが難しくなります。
これが「遂行機能障害」です。
このような障害がある時に、「もうできない」と諦めてはいけません。適切に声掛けを行いながら、必要最小限のアシストで、ご本人に、料理をしていただくことは可能です。
自尊心を傷つけないように、配慮しながら、一緒に行うことが大切だと思います。
例えば、野菜の切り方。「もっとこう切った方がいいのに」と、支援者が思うことがあるかもしれません。しかし、利用者さんには、利用者さんなりの切り方があります。そこで、「こう切った方がいい」と言わないようにした方がよいと思います。もちろん、明らかに指を切ってしまいそうな切り方など、声掛けをした方がいい場合もあります。そうでなければ、「野菜を切れる」という強み(ストレングス)として捉えます。そして、ご本人にポジティブなフィードバックを行うことで、認知機能に働きかけることができます。
特に避けていただきたいのは、「否定」することです。「その野菜の切り方ではだめ」。認知症の方に限らずそう言われたら傷付きます。自尊心を傷つけることは、自信を失い、意欲低下を招いてしまいます。きれいに、正しく、適切に、野菜を切る必要はないと思います。
「あなたはそのままで素晴らしい」精神で支援出来たらと、私は思い、ケアしています。