認知症の方の心理的ニーズ
5つありますが、相互に作用して、そのすべてのニーズを含むのが「愛」です。
心理的ニーズ
①なぐさめ(くつろぎ)
優しさや、親密さ、苦痛や悲しさを和らげ、安心できる感情です。
認知症になり、できないことが増えていく、または大切な方との死別等、様々な喪失感があると思います。そんな時に、この「なぐさめ」のニーズが高まります。
②結びつき「愛着」
結びつきとは、本能的に求めるものです。この結びつきによって、安心感を持つことができます。これが喪失すると、安全であるということを、損ないます。特に認知症の方は、結びつきによる、過去の思い出も喪失していくことがあるため、強い欲求があると思われます。
③共にいること(社会的一体性)
人間は、集団の中で生活するように、進化してきました。このニーズを満たせないと、引きこもりなどの恐れもあります。殻に閉じこもってしまい、孤独な生活を送ることになるかもしれません。しかし、このニーズを満たすことで、再び殻を破り、仲間との生活の中で、自分の居場所を見出すこともできます。集団を好まない方もいます。しかし、もともと集団が嫌いなのではなく、人生の中の何処かで、何かをきっかけに、「一人でいること」を選んだ可能性があります。そのことを選んだのはなぜなのか、アセスメントできると、また違った支援の方法も見えてくるかもしれません。
④たずさわること
「職業」という意味もあります。自分の培ってきた能力を活かして、仕事をしたとき、人から感謝されることで、人から必要とされている実感が湧きます。このニーズが満たされないと、能力が衰え始め、自信の喪失にもつながります。
⑤自分らしさ(同一性)
自分が唯一無二の存在であることです。それは、過去から繋がって、今の自分があると認識することです。しかし、記憶の喪失によって、過去と今の繋がりを寸断されてしまうことがあります。
しかし、支援者として、できることがあります。
それは、その方の人生歴について、ある程度詳しく知ることです。人生の物語が自分自身で保てなくなっても、他社の力をかりて、保つことができるからです。
①~⑤までのニーズが一つ満たされると、別のニーズも満たしていくように相互に関係しあっています。すべてのニーズが満たされると、自尊心が保たれること、自分には価値があること、尊重される存在であること等が高まっていきます。それが、パーソンフッドを保つことになります。つまり、その人らしさを保つことになります。