認知症(特にアルツハイマー型認知症の方)に起こる記憶障害。
今回は、そもそも記憶というのはどのような仕組みになっているのかを説明いたします。
最後に認知症の方が抱える記憶障害について説明します。
記憶の流れ
記銘→保持→再生
つまり…
物事を覚えて、脳に保存して、アウトプットする
ということです。
記銘
・重要なことや、自分が好きなことは、記銘しやすい
・記銘する際の感情も関係している→
楽しい感情は楽しい時に、悲しい時は悲しい時に頭に浮かびやすい
保存
短期記憶を、復習することで、長期記憶に移行できます。
再生
保存した記憶を思い出す
再生ができた時、「記憶できている」といえます。
アルツハイマー型認知症の方
海馬の萎縮により、記憶障害としてあらわれます。
海馬は今起きていることを長く頭の中に保持するために働いています。
短期記憶は、前頭葉が司っています。アルツハイマー型認知症の方は、前頭葉の萎縮が初期では問題ありません。
なので、会話の理解はできるけれども、海馬の萎縮のせいで、長期に保存できなくなるのです。
ご本人は、自分の異変には気づいており、不安になります。
記憶障害により、失敗体験を重ねて、自信を失い、できることもしなくなってしまうことがあります。
だから、ご本人が諦めかけていた「自分でできること」を、介護者がご本人のサポートすることが大切です。
宣言的記憶と非宣言的記憶
宣言的記憶とは、エピソードを語れるような記憶です。
非宣言的記憶とは、包丁の使い方や自転車の乗り方等、体で覚えているものです。
認知症の方が障害を受けるのは、宣言的記憶です。
しかし、非宣言的記憶は最後まで残りやすい記憶です。
今していなくても、潜在的にできることを探し、一緒にやることで、生き生きとしたご本人の姿をみることができます。
ご本人の生活歴など、改めてアセスメントしてみるのも良いかと思います。