認知症ケア~レビー小体型認知症とは~

投稿者: | 2023年7月11日

レビー小体型認知症(びまん性レビー小体病)とは、レビー小体と呼ばれる、脳内の異常なたんぱく質(αシヌクレインともいいます)の沈着により、運動機能の低下や精神症状が現れる認知症です。

レビー小体型認知症

①症状 ②診断 ③治療

①症状

記憶障害は目立ちません。しかし、覚醒障害や注意障害から、記憶力が下がることはあります。

パーキンソン症状👇

運動障害:運動機能の低下。筋肉のこわばり(※リジデュアルリギディティ)、※運動の鈍化、歩行困難、バランスの悪化など。

筋肉のこわばり(リジデュアルリギディティ): 筋肉がこわばったり硬くなったりすることがあります。

※運動の鈍化:運動の速度や柔軟性の低下があります。日常生活動作の実行や身の回りの動作の制御が困難になる場合があります。

震え(振戦):手や指、腕、足などの体の一部が不随意に揺れる状態を指します。

👆これらのパーキンソン症状が目立たないとアルツハイマー型認知症と区別が難しい。このとられ妄想や嫉妬妄想がみられる。

幻視複雑で強迫的で現実的→幻視が非常にリアルで生き生きとした体験として現れ、一時的に現実との区別がつきにくいといわれています。幻視によって現実世界と幻覚の世界が混同してしまうことがあります。

自律神経症状:血圧の変動によりめまい、ふらつき、失神のリスクがあります。心拍数の変動、体温調節の障害、汗の過剰分泌または不足、また、排尿異常:(頻尿や尿失禁などの症状が現れる)があります。

末期には四肢麻痺がみられます。

失外套(しつがいとう)症候群:大脳機能が失われ、自発性の欠如、自ら話したり動かない、意識はしっかりしているが、刺激に反応しない。

 

②診断

PET:画像診断技術の一つ。脳内の代謝活動を評価することができます。認知症では脳の代謝活動が低下する傾向があります。

SPECT:脳内の変化の把握。脳内の血流や代謝の変化を可視化することができます。レビー小体型認知症では、脳内の血流パターンに異常が現れることがあります。

※1認知の変動(認知機能が時間とともに変動する状態を指します。認知機能には思考、判断力、記憶、集中力などが含まれます。)

※2幻視

※3パーキンソン症状

※1~※3のうち、2つ当てはまればレビー小体型認知症と考えられる。

確定診断は、剖検標本(死亡した人体の解剖解析を行うこと)

③治療

薬物療法

レボドパ(L-ドパ)、脳の循環改善薬、代謝改善薬

ドネペジルやリバスチグミン

非薬物療法的アプローチ(安心感を与える環境の整備、視覚的な刺激の減少)幻視への対応

環境の最適化:パーキンソン症状により転倒しやすいため、住環境の改善や障害物の除去が行われます。

患者と家族のサポート:情報提供や心理的なサポートを行います。サポートグループや専門家の支援も利用されることがあります。

④まとめ

みなさんが想像する認知症とは、症状が違うと感じたかと思います。援助者が、しっかりと知識をもち、対象者の方に安心感を持って頂けるようケアすることが大切だと思います。例えば、幻視の症状に対しては、否定も肯定もせずに、しかし話をよく聞くことで安心感を持って頂くことが大切です。繰り返しますが、「安心感」を持って頂けるようなケアをすることで、信頼関係をきづけることができると思います。

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