皆さんは、「心の平安」を求めて何をしますか?
私たちは日々の暮らしの中で、さまざまなストレスや不安を感じることがあります。
認知症の方は、ストレスや不安が常に付きまといます。そのため、認知症の方にとっての「心の平安」は、私たちが想像する以上に深い意味を持っています。
「心の平安」が保証される住環境とはどのようなものか解説したいと思います。
目次
①バリアフリーについて
②生活環境条件
③室内の明るさ
④24時間、365日、みんな一緒は辛い!
⑤ユニバーサルデザイン
⑥まとめ
①バリアフリーについて
バリアの全てを取ってしまうと、身体機能の低下を招く恐れがあります。
環境レベルは下げ過ぎても、上げ過ぎても障害となります。居住者の適応レベルに合わせた住環境が必要です。
②生活環境条件
・落ち着く:居場所であると認識できる。家族の写真を飾ったり、馴染みの物を置く等。
・活動ができる:生活そのものがリハビリになる。
・過度の情報は混乱してしまう:必要な情報は完結明快に。
・機能の理解がしやすい:トイレが自動で電気がついたり、洋式便器、自動ドア等、使用者にとって便利か便利でないかは、わからない。使用者にとっての便利を考える必要がある。
・居場所の位置がすぐわかる:「~らしく」が大切。「トイレらしく」→無意識レベルでわかるように。
③室内の明るさ
無駄に明るくしない。→落ち着く
コンビニのように明るいと活動的になる。
明るくてもいいが、暗さをコントロールできるとよい。
時間で「寝ましょう」から、照度によって「寝る」という意識をもってもらうこともできる。
④24時間、365日、みんな一緒は辛い!
部屋の中以外でも落ち着く場所を作る
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住環境における「パブリック」「セミパブリック」「セミプライベート」「プライベート」という4つの空間カテゴリ。→これは施設でも地域においても通じる。
- パブリック (Public)
- 定義: 全ての人々が自由に利用できる公共の空間。
- 例: 公園、広場、大通りなど。
- 特性: この空間は誰もが利用できるため、プライバシーはほとんど期待できない。
- セミパブリック (Semi-public)
- 定義: 特定のグループやコミュニティに開かれているが、一般の人々には限定的に開放されている空間。
- 例: 学校の中庭、オフィスのロビー、集合住宅のエントランスホールなど。
- 特性: 一定の共通の目的や背景を持つ人々が集まる場所であり、外部からのアクセスは制限されることが多い。
- セミププライベート (Semi-private)
- 定義: 個人や家族が使用する空間でありながら、限られた外部の人々とも共有する場所。
- 例: 自宅のリビングルーム、バルコニー、前庭など。
- 特性: 主に家族や住居の所有者が利用するが、訪問者や友人などが一時的にアクセスすることもある。
- プライベート(Private)
- 定義: 個人だけが利用する、非常にプライヴェートな空間。
- 例: 自宅の寝室、浴室など。
- 特性: この空間は個人のプライバシーが最も保護され、外部の人々のアクセスは極力制限される。
これらの空間カテゴリは、日常生活の中で、異なる活動や相互作用をサポートするための基盤となっています。
⑤ユニバーサルデザイン
全ての人々が平等に使用でき、アクセスできるように設計されることを指すデザインのアプローチです。年齢、障害、性別、民族などの違いを超えて、できるだけ多くの人々が同等に利用できるデザインを目指します。
ユニバーサルデザインは、単に障害を持つ人々をサポートするためのデザインではありません。誰もが快適に利用できる環境を作り出すことを目指すものです。
⑥まとめ
認知症の方々は、日常生活において、様々な課題に直面しています。上記の生活条件やプライベートの確保、そしてユニバーサルデザインを取り入れることによって、住環境をより安全かつ快適に整えることができます。照明の工夫、家具の配置、わかりやすい案内など、一見小さな変更でも、「心の平安」をもたらす大きなサポートとなると思います。認知症の方に関わらず、私たち一人ひとりが心地よく、そして「心の平安」を感じながら生活できる環境を、共に築いていくことが、社会の共生を意味するのではないかと思います。