家族ができることは?認知症のトイレ問題を解消するためのヒント集

投稿者: | 2024年10月12日

「認知症の方が、自宅のトイレの場所がわからなくなる」といったことは、よくある話だと思います。

トイレの場所がわからないことで、誤って他の場所で排泄してしまったり、トイレにたどり着いても間に合わないことがあります。夜中トイレがわからなくなることで、ご家族の睡眠時間がしっかりととれなかったりと、様々な弊害が起きると思います。こうした問題を解消できる方法を考えてみましょう。

視覚情報によってトイレに行けるようにする
トイレの扉に「トイレ」と貼紙するだけで、解決することがあります。床にトイレまでの矢印を貼ることも効果的です。

視覚的サポートが重要である理由を脳の仕組みから説明
物を見ると、まず、脳の後ろ側(視覚野)に情報が届き、その物の色や形は脳の下側を通ります。その物がどこにあるかという空間的な情報は、脳の上側のを通っていきます。このように、視覚で得た情報は、脳の中でばらばらに分析されます。それらをまとめ上げることで、物の認識ができます。
この、見た情報を「まとめ上げる」ことが、難しくなることで、トイレをトイレと認識できないことがあります。そのためにも、わかりやすい視覚情報が必要です。

夜にトイレにたどり着けない
「家の中が暗い」ということが原因となっているかもしれません。
暗いと視覚認識が難しくなります。トイレの灯りはつけっぱなしにしておいて、扉も開けっ放しにしておくのも一つの方法です。

注意力の低下から、トイレに間に合うようなタイミングでトイレに行けないことがあります。トイレに行くタイミングを把握しておいて、そのタイミングでトイレに行くよう、ご本人をお誘いしてみるのも一つの方法です。記憶障害はありますが、繰り返しトイレにお誘いすることで、「トイレに行って排泄する」ということができることもあります。

トイレの中の環境を整えることも大切です。置いてあるものを誤認して、トイレに入れないといったこともあります。

ご本人の不安への配慮も大切
自分のことは自分でコントロールできるという感覚と、「排泄ができる」ということは深く関係しています。排泄の問題の解決は、自尊心を傷つけやすいので注意が必要です。
排泄を1回失敗したら、それ以降もずっと失敗するわけではありません。1回の失敗で、「もう一人でトイレにはいけない」と思って接することで、ご本人の自尊心も傷つきますし、自信も失ってしまうことがあります。排泄だけに限りませんが、ご本人が自信を失うことで、気持ちが沈み込みやすくなることもあります。ご本人の不安に寄り添いながら、自尊心を傷つけない配慮が大切です。

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