ご家族が知らぬ間に、認知症の方が家を出て行ってしまい、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。「いつ外出するかわからない」、「誰かの迷惑になったらどうしよう」など、不安は尽きないと思います。
その不安を解消する方法をお伝えします。
認知症の方の外出のタイミングや頻度を把握する
外出する時間や、「朝、昼、夜」など、どのタイミングなのか把握します。
そして、1週間の内、何日外出するのか、また一日に何回外出するのか
も確認してみましょう。
このタイミング、頻度を把握することが、介護保険サービスをどの程度必要になるかの指標になります。どんなサービスが適切かの判断材料にもなります。
ケアマネジャーと相談してみましょう。
ご本人の話を聴く
外出する時に気付いた時には、なぜ外出するのか、どんな目的があるのか、ご本人を責めずに、安心できる環境(ご本人の部屋や、椅子に座って話すなど)で話を聴いてみてください。その時に、否定はしないようにしましょう。逆に、ご本人の気持ちに共感することで、「自分は認められている」という安心感を持って頂けると思います。
一緒に歩いてみる
認知症の方に限ったことではありませんが、「歩く」ということは沢山のメリットがあります。
「歩く」メリット
・外に出て歩くことで、太陽光を浴びることができ、セロトニン(幸せホルモン)の分泌が促進されます。これによって、気分が改善され、ストレスや不安が軽減される効果があります。特に、朝歩くと、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、分泌されたセロトニンが、夜にメラトニン(睡眠と覚醒のリズムを調整するホルモン)に代わり、眠気を誘います。これによって、夜しっかりと眠ることができれば、夜間の外出は軽減できると思います。
・脳の血流を増加させて、認知機能を保つために役立ちます。特に、海馬(記憶を司る部分)への良い 影響があり、進行を遅らせる可能性があります。
・公園や近所を歩くことで、他の人と挨拶を交わす機会が増え、社会的なつながりを得ることができます。孤立を防ぎ、社会参加を促進することで、精神的な健康も向上します。
・消化器系の働きを促進し、便秘などの消化器系の問題を予防・改善します。特に高齢者に多い便秘に対しては、歩行が効果的です。
見守りネットワークサービス
認知症の方が外出して道に迷った時など、地域で協力して、速やかに発見して、見守り、支援するための仕組みです。これは、認知症の方が道に迷った場合、ご家族や介護者が速やかに対応できるよう、自治体、警察、地元の店舗、交通機関、さらには地域住民の方々が連携して行われます。
事前に登録しておきましょう。市町村役場で登録できると思います。
GPSの活用
今年の認知症ケア学会全国大会でも発表された、首にかけるネックレス型の※GPSトラッカーというものがあります。リアルタイムで位置情報を追跡できるのが特徴です。ご家族は、これを使うことによって、ご本人が道に迷った際に迅速に発見できるので、安全性を確保しやすくなります。また、デザインが目立たず、使いやすいことから、認知症ケアにおいて広く活用されつつあります。
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まとめ
様々な方法をご紹介しましたが、一番大切なのは、ご本人の気持ちを知ることです。ご本人は、何らかの不安を抱えており、それが「外出」に繋がるのではないかと思います。そのためにも、前途したように、安心できる環境で、ご本人の気持ちに耳を傾ける。「私は、あなたのことを大切に思っています」というメッセージを伝えてみてください。その上で、色々な方法を試してみてください。