至れり尽くせりのケアで認知症が進む?その理由を優しく解説!

投稿者: | 2024年10月21日

ショートステイを利用すると認知症の症状が進むと心配する声がありますが、それはショートステイの問題ではなく、提供されるケアの内容が影響することがあります。

至れり尽くせりのサービス

靴の脱ぎ履きを手伝ったり、お風呂で、自分で頭を洗えるのに、スタッフが洗ったり…
などなど、ご自身でできることを奪ってしまっていることは、往々にしてあります。
介護保険法にも、目的は「自立支援」と明記されています。
自分に出来る事と、これ以上はできないという境界線を見極めたケアが必要だと思います。
施設の介護士さんも、優しさだと思ってケアしている方もいらっしゃると思います。しかし、それが逆効果になってしまうことを、意識して頂けたらと思っています。
この至れり尽くせりのサービスを受けて、自宅に帰ると、自分でやれることをやろうとせず、手伝わないとイライラしてしまうケースがあります。
数日すると、回復することが多いようです。
「認知症の症状が悪化した」というより、一時的に※「生活不活発病」になったと言えるのではないかと思います。
「デイサービスを使いたいけど、利用すると、ご本人が動けなくなってしまう」、
「本当は歩けるのに、施設では車いすでの生活になっている。家に帰ってくると歩けなくなってしまう」。
至れり尽くせりのサービスが、ご本人にとって悪影響があることを、介護のプロより、ご家族の方が、身を持って知っているのではないかと思います。

※生活不活発病:活動が少なくなることで、筋肉や心臓、肺の力が弱くなるだけでなく、認知機能も低下することがあります。特に、体を動かさない状態が続くと、脳への刺激が減り、思考力や判断力が鈍ることがあるため、身体の健康とともに、認知機能を保つためにも適度な活動が大切です。

役割を奪われることによる弊害

生活の中で、自分の役割がないということは、様々な弊害があります。認知機能の低下だけでなく、自信を失い、「自分は必要とされていない」と思ったり、「死んだ方がいい」とまで、思う方もいらっしゃいます。それだけ、「自分は誰かの役に立っている」ということは重要です。
「自分が自分であること(アイデンティティ)」
「結びつき」
「たずさわること」
「共にあること」
「やすらぎ」
この5つの心理的ニーズを満たす一つの方法が、「役割を持って頂く」、「利他行為を促す」、「目的意識を奪わない」といったケアです。
逆に、これらが満たされないと、ご本人の不安は強くなり、BPSD(不安、混乱、興奮、怒り、幻覚などの行動や心理的な変化)として現れます。
ショートステイを利用中も、役割を持って頂くことで、認知機能の低下は防ぐことができると思います。

まとめ
ショートステイを例にしました。しかし、上記で述べたことは、全ての施設、また、ご家庭にも言えることです。
前途した、5つの心理的ニーズの中心には「愛」があります。見返りをもとめないとか、そういったものではないと思います。
介護されるご家族、施設の職員さん、介護に関わるすべての方の、心の中にある「愛」は何か、考えてみてください。それを、認知症の方に差し伸べてみてください。ご本人も、介護者も幸せな気持ちになれるはずです。

参考文献
私が学んできた認知症ケアは間違っていました | 水野 裕 |本 | 通販 | Amazon

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