認知症の方に限ったことではありませんが、在宅生活を送るために、住宅改修を検討されている方は多いのではないでしょうか?
介護保険を利用することで、費用を抑えることができます。そのことについて、解説します。
介護保険の申請
介護保険利用して、住宅改修を行うので、当然ながら介護保険を申請する必要があります。
認定調査を受けて、要支援1~2、要介護1~5の区分で結果が出た方が利用できます。
「自立」という結果が出なければ、利用できます。
私の経験上、認定調査で「自立」という結果が出た方はいらっしゃいません。生活する上で、困りごとがある方であれば、あまり心配することはないと思います。
介護保険を申請すると、ケアマネジャーが手続きをしてくれるので、不安なことがあれば聞いてみて下さい。
住宅改修の条件
・要支援認定、要介護認定を受けている。
・介護保険申請者の世帯の方の名義の家であること。
・入院中に住宅改修を行う場合は、退院後自宅で生活をすること。
・自宅内での移動や日常生活において危険が伴う場合。
・転倒や事故のリスクが高く、バリアフリー化や安全対策が必要とされる場合。
注意点
安易に、知り合いの工務店さんに、住宅改修をしてもらうのはやめましょう。介護保険の給付が受けられなくなることがあります。工務店は、県から住宅改修を行ってもいいという「登録」をしていないといけません。
「福祉用具貸与」の事業所の方は、介護保険に慣れているので、安心かと思います。どの事業所にするかは、ケアマネジャーさんと相談しましょう。
対象となる住宅改修の内容
介護保険で住宅改修できる内容は決まっています。
手すりの取り付け:移動や立ち座りの際の支えとなる手すりの設置
段差の解消:廊下や玄関などにある段差をなくす、またはスロープを設置する
床材の変更:滑りにくい床材に変えることで転倒リスクを軽減する
引き戸などへの扉の変更:ドアを引き戸やスライドドアに変更することで、開閉のしやすさを改善
和式から洋式トイレへの交換:立ち座りが楽な洋式トイレに変更する
これらが、住宅改修を行える内容です。
また、住宅改修が行われる場所は、介護保険を申請した、ご本人の困りごとの解消であることも、事前の申請で問われます。
支給される金額
原則20万円が上限です。この上限額の範囲内で費用の9割、8割、または7割(収入に応じて異なる)が介護保険から支給され、自己負担は1割、2割または3割となります。
支払いは、償還払い(一旦全額を支払ってから給付金が振り込まれる仕組み)というもので、1~2か月後に支給となります。
自治体にもよると思いますが、申請者への入金のお知らせがないので、ご自身で銀行通帳を確認する必要はあります。
また、一度住宅改修をして、20万円かからなければ、残金で住宅改修をすることができます。
一度上限額に達すると、再度利用できません。ただし、住所を変えた場合や要介護度が著しく変化した場合など、特定の条件により再度利用できることもあります。
住宅改修費の再利用が可能となるのは、要介護度が3段階以上上がった場合が一般的です。例えば、要介護1から要介護4に上がるようなケースがこれに該当します。
自治体によっては、介護保険の20万円上限を超える分に対して独自の助成金制度を設けている場合もあります。
住宅改修が医療的に必要と認められる場合、超過分の費用について医療費控除を受けることができる可能性もあります。これは医師の指示のもと行われる改修に限られますが、特定の状況で税金の控除が適用されることがあるため、詳細は税務署や税理士に確認すると良いでしょう。
高額な住宅改修が必要な場合、リフォームローンを利用する選択肢もあります。銀行や自治体によっては、高齢者向けや障害者向けの住宅改修ローンがあるため、これも併せて検討可能です。
まとめ
住宅改修を希望されている方は、まずはケアマネジャーさんに相談しましょう。申請手続きは、ケアマネジャーさん、福祉用具貸与の事業所の方が、行って下さいます。
困りごとがあれば、一人で抱え込まず相談してみてください。確実に、給付金を受給できるようにしましょう。