老後に何を楽しもうかと悩んでいる方はいらっしゃいますか?
趣味がある方は、それを楽しむのもよいですね。しかし、趣味を持っていないという方も沢山いらっしゃると思います。決して、趣味を持たなければならないとは思いません。
たとえば、仕事で培ったノウハウ、スキル、を活かして、「人のことで役に立つ」。その行動は、「自分でも人の役に立つことができる」と思うことができると思います。
「人の中で自分が何ができるか」、これが人生ではないかと思います。
また、自分には何ができるかを考えている人は、病気の進行が遅いという研究結果もあります。
認知症の方も、「人の中で自分が何ができるか」。これが、自分らしく生きていくコツであると思います。
しかし、「できる」、「できない」より大切なことがあります。
たとえば、認知症の方とご家族の間でケンカが絶えず、一時的に入院した方の話です。困りごとだった料理や洗濯の負担がなくなったことで、入院中、笑顔で他者と話をしていました。退院してからも、料理や洗濯などができなくても、ニコニコと話をしている姿が増えて、ご家族は「よくなった」と、話しています。
この、「よくなった」は、認知症という症状が良くなった訳ではありません。ですが、そういった概念を超えて、「よくなった」のです。
「できない」ことに対する、不安やいらだちの中で生活をするよりも、笑顔で生活を送っている方が、「良い状態」といえると思います。
パーソンセンタードケアでは、ご本人が、「今何を経験しているのか」に注目しています。
症状によって、「良い状態」、「良くない状態」と判断をしません。
「良い経験をしているか」、「良くない経験をしているか」に着目しています。
認知症が進行していても、先の事例のように、笑顔でいれば「良い状態」と捉えることができるのです。