ガンの相談機関の方とお話していた時のことです。
私が、
「働かなくてはいけないと思いますか?」
とお聞きしました。
すると、
「そういう世の中だからね」
とおっしゃっていました。
その方を責めたい訳ではありません。
私は、働きたくない訳ではありませんでした。
私の聞き方も、意地が悪かったと思います。
「働くってどういう意味だと思いますか?」
という、問いだったのです。
私は、17歳でメンタル疾患になり、なんとか大学を卒業して、働くことになりました。
しかし、精神的不安定に加え、大量の眠剤を飲んでいたため、日中の眠気がひどく、起きていることだけでも精一杯でした。
精神的不調で、1週間に何日も欠勤することはざらでした。
それでも、30歳手前くらいで、以前よりは働けるようになってきました。
とは言っても、欠勤することは多いし、長期の休暇をもらって療養しそのまま退職することも多かったです。
ずっと思っていました。
「普通に働きたい」
心の底から思っていました。虚しく、悲しく、絶望することも何度もありました。
それに加え、理不尽な対応、心無い言葉をかけられることもあり、その度に深く傷ついてきました。
私にとっての「普通」とは、休まずに働く。
それだけです。
風邪で休むことは、みなさんあるかと思います。
でも、毎月のように、毎週のように欠勤していたのです。
休みの電話をいれることも勇気が必要でした。
そして、電話の後に自己嫌悪にさいなまれ、結局心が安らぐことはありませんでした。
「休まずに働く」ということが、私にとってはとても大きな壁でした。
その壁をどうやったら乗り越えられるか、ずっと20年近く考えながら、転職を繰り返し、「働かなければならない」社会にしがみついてきました。
私の尊敬する方が、
「具合が悪いのがデフォルト。サバイバルして生きていけばいい」
と言って下さいました。
それから、わたしはやっと普通に働くことができるようになりました。
ここに辿り着くまで20年かかりました。
「働かなくてはいけない社会」
働かなくてはお金も稼げない。生活もできない。だから働く。
前途した
「そういう世の中」であると、それが当たり前のように思われている方がほとんどかと感じます。
しかし、私は本当にそうなのかと思っています。
私が普通に働くのに苦労したからではありません。
「そういう世の中」とは、
働く=生きること
生産性=価値
という構図になっていないでしょうか。
しかし、様々な理由によって、働きたくても働けない方はいます。
今の「世の中」の構図では、そういった方たちを否定することになってしまわないかと思うのです。
働けない=生きていてはいけない?
生産性を生みだせない=価値がない?
みなさん、そう思いますか?
そもそも働いていなければ、生産性を生みだせないとも思いません。
この世の中では、働けない方にとって、とても生きづらく、途方に暮れる方もいらっしゃると思います。
働けないのなら、障害年金を堂々と受給していい。生活保護だって、堂々と受給していい。それすらも難しい方だっていらっしゃる。
でも、必死に生きている。この世の中を変えようと必死に訴えかけている方もいる。社会保障を受けながら、自分のやりたいことに挑戦している方もいる。
生産性=価値 ではない。
生きている。それだけでも価値があって、何かに挑戦しようとしている方は輝いている。
それは、働くことができる方も同じです。
生きているだけで価値があります。そして、小さなことでも行動して挑戦している方は輝いている。
「行動に移す」ということは、簡単ではないと思います。
自分の好きなことをすることにためらってしまう方も多いと思います。
そこには様々な理由もあると思います。
ただ、自分らしく自分の人生を生きて欲しいと、勝手ながら私は願っています。
そのためには、この生きづらい世の中の構図を変えていく必要があると思います。
私はずっと、認知症の方が自分らしく生きることができる社会にしたいと活動してきました。
認知症の方も、例え働けなくても「役割」を持つことで、自分らしく輝いて生きることができます。
必要なのは、「働く」ことではなく、「役割」を持つことだと、私は思います。
「自分は誰の何の役に立っているか」
それが人生だと思います。
「誰かの役に立ちたい」
そう思えた時点で、利己的でも利他的でも関係なく、自分らしさが生まれるのではないでしょうか。
「支え合い」とよく言いますが、
私は、
「頼り合い」が大切だと思います。
頼り合うことで、それぞれに「役割」が生まれる。
そして、自分らしさをもてる。また、自分らしさを見つけることにつながっていく。
この「頼り合い」は、「つながり」を広げていくこともできる。
それは、生きづらさを解消していく一つの方法だと思います。
働くことも大切です。
でも、それが全てではありません。
一番大切で、保障されなければならないのは、「自分らしく自分の人生を生きる」ということではないでしょうか。
私はそう信じています。
そして、みなさんがそうやって生きていけるように、人生をかけて取り組んでいく覚悟です。
私が作詞作曲した、「頼り合い」という歌です。もしよかったらご覧いただけると嬉しいです。
こちら👇
https://www.youtube.com/watch?v=KDCWRUhajKQ