「その人らしい」幸福感を支える!ウェルフェアとウェルビーイングが描く未来の福祉

投稿者: | 2024年10月9日

ウェルビーイング(Well-being)とは、
「健康とは、身体的・精神的及び社会的に良好な状態(Well-being)であって、単に、病気でないとか、虚弱でないということではない」
と、1946年に世界保健機関(WHO)の憲章草案に初めて登場した概念です。

近年、ウェルビーイングが注目を集めています。
それは、「人生の質を向上させる」ことが社会全体の幸福に繋がるという認識が広まってきたことがあります。


ウェルビーイングの注目が高まった理由

幸福感の向上:物質的な支援だけでなく、心の健康や社会的つながりが幸福感に大きく影響することが認識され、これに対応する政策や取り組みが必要とされています。

予防的アプローチ:ウェルビーイングは、心身の健康や生活の質を維持するための「予防的な」取り組みを重要視しています。例えば、ストレスマネジメントや健康増進プログラムなどが含まれます。

全人的全体を見た)アプローチ:ウェルビーイングは、身体的、精神的、社会的な側面を統合的に捉え、個人がその潜在能力を最大限に発揮できる状態を目指しています。これは、単に経済的支援を超えた、より包括的な視点です。

働き方の変化:現代では、仕事の満足感やワークライフバランスも、ウェルビーイングの一部として重視されるようになり、企業も社員の心身の健康や成長をサポートすることが重要視されています。

ウェルフェアとウェルビーイングの関係性

ウェルフェアとは、
一般的に「福祉」や「社会福祉」を意味しており、個人やコミュニティが、健やかで安定した生活を送れるように支援することを指しています。特に、経済的な困難や社会的にサポートが必要な方に対して、政府や公共機関が提供するサービスや支援を中心とする概念です。

ウェルフェアとウェルビーイングは、相互補完的な関係にあります。

ウェルフェアは基盤、ウェルビーイングは発展:ウェルフェアは、経済的困難や社会的にサポートが必要な方々に対する最低限の支援を提供し、個人の生活を守る「基盤」として機能します。一方で、ウェルビーイングは、その基盤の上に「豊かで充実した生活」を築くための発展的な概念です。つまり、ウェルフェアがあってこそウェルビーイングが成り立ちます。

相互依存:ウェルビーイングを高めるためには、社会全体で健康や幸福感を維持する政策が必要ですが、それにはウェルフェアによる経済的支援や社会保障が不可欠です。逆に、ウェルビーイングが高まれば、ウェルフェアに頼らずに自立した生活を送る人が増える可能性があり、社会全体の福祉負担も軽減されるという好循環が生まれます。

多様なアプローチ:ウェルフェアは特定の問題を解決するために必要な政策であり、ウェルビーイングはその解決を超えて、より高次の幸福や満足感を追求するものです。現代社会では、両方をバランスよく取り入れた政策が必要です。

今後の展開
今後は、ウェルフェアの概念を維持しつつ、ウェルビーイングの要素を取り入れた新しい福祉政策がさらに発展していくと考えられます。例えば、経済的な支援だけでなく、心身の健康をサポートするプログラムや、個人の成長や自己実現を支える取り組みが、社会全体で進められるのではないかと思います。企業や自治体も、社員や住民のウェルビーイングを高めることで、より健全で持続可能な社会の実現を目指しています。

認知症の方の、ウェルビーイングの向上を目指した方法としては、パーソンセンタードケアが挙げられます。
パーソンセンタードケアでは、「その人らしさ、ひとりの人間として周囲に受け入れられ、尊重されることを高めること」が求められます。

主観的幸福感(Subjective Well-being)は、個人が感じる幸福や満足感を測定する指標で、認知症の研究でも重要視されています。主に、感情的側面、生活満足度、健康状態、介護の質、社会的つながりが評価され、ポジティブな感情や生活の質向上に注目します。測定にはSWLS(生活満足度尺度)やPANAS(ポジティブ感情とネガティブ感情の頻度や強さを測定する心理学的な尺度)などの尺度が使われます。認知症の方の生活満足度や感情的健康を理解し、より良いケアを提供するための基盤として役立っています。

まとめ
社会福祉の対象は「生活」です。まずは、基盤としてのウェルフェアを充実させることが重要です。しっかりとした生活基盤の上で、「その人らしい」生活を送ることができれば、それがウェルビーイングに繋がると考えます。パーソンセンタードケアは、認知症の方に限った考え方ではなく、誰もが「その人らしさ」を尊重され、社会に受け入れられることを目指しています。性別、年齢、障害、経済状況、文化的背景にかかわらず、全ての人が平等に参加し尊重されるインクルーシブな社会で、「その人らしい」幸福感を実現していくことが大切です。

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