認知症の方の“心の叫び”暴言・暴力を解決するコツ

投稿者: | 2024年10月14日

認知症の方の、暴言・暴力の背景には何があるでしょうか。暴言・暴力に苦慮されている方は多いと思います。そういった時、どのように接するか、心の持ちかたなどを解説します。

・「暴言・暴力の原因」

ストレスを減らす
暴言・暴力は、認知症の方の不安や苦痛など、自分の想いを表現しているものです。
嫌なことを言われた
指摘された
怒られた
自分がやろうとしていることを奪われた
無視された
否定された
便秘
身体の痛みや痒み
この他にもあると思いますが、このような人間関係上でのストレスが、暴言・暴力につながる可能性は高いです。また、身体的苦痛から、暴言・暴力として表現していることもあります。

自分が言われて、もしくはやられて嫌な思いをするな、と思うことを、認知症の方に対してしないでください。当然、認知症の方も嫌な思いをされます。自信も失います。自尊心も傷つきます。
これは、認知症の方に限らないことだと思います。「自分が嫌な思いをすることを、相手にはしない」というのは、みなさん重々承知のことだと思います。しかし、認知症の方の介護をしていると、それを忘れてしまっているのではないかと思うことがあります。

・「具体的な事例と対応」

簡単な事例です。
施設で、集団の中、よく「今日は何月何日ですか?」と記憶障害のある認知症の方に聞いている場面をよく見かけます。わからないことを知っていながら、聞いているのです。質問された方は、集団の中で答えられない自分自身をどう思うでしょうか。失敗体験を作り出しているのと変わりありません。リアリティーオリエンテーションとして、行うのであればいいと思います。なんの意図もなく、そのような質問をするのは、その方にとってストレスです。自尊心も傷つきます。

もう一つ簡単な事例です。
昼食が終わり、認知症の方がお皿やお椀が乗ったお盆を、台所まで自分でもっていこうとした時のことです。私は、その行動に対して、ポジティブな声掛けが必要だと思います。その方の目的意識性を奪わずに、一つの役割として捉え、片づけて下さったことに対してお礼の言葉をかける。その方のも介護者も、気持ちのいい関りだと思います。
しかし、この方の行動に対して、「危ないからやめて」「まだお盆を下げる時間じゃない」と叱責している光景を見たことがあります。非常に残念なことです。これもまた、その方のストレスであり、自尊心を傷つけます。

身体的なことでは、便秘の方が、排便ができた時に、それまでイライラしていた方が、人が変わるように穏やかになるケースは多いです。

精神的にも、身体的にもストレスを解消することが、暴言・暴力の解消につながる一つの方法です。

・「介護者の心構え」

とはいえ、介護する側も精神的ストレスを抱えています。
その解消法としては、
知識を持つこと
認知症の方を自分の思い通りにしようとしないこと
相手の思いと自分の思いに二面性があることに気付くこと
です。
そして、
「自分が優しくなければいけない」
と思わないことです。
優しい方がいいです。でも、優しくない人が介護できない訳でもないし、優しい人が、いわゆる「いい人」でもありません。そのままの自分で大丈夫です。「優しくしなければ」という思いが、ストレスになると思うのです。
ただ、心得として上記のことを押さえておくことで、介護する上でのイライラは軽減すると思います。

介護者のストレスが軽減されれば、認知症の方のストレスも軽減します。その結果、暴言・暴力も軽減されます。

・「薬の影響について」

薬を見直す
私は医療職ではないので、安易に意見できませんが、参考までに読んでください。
アルツハイマー型認知症の方に良く使用される「アリセプト」という薬があります。
この薬には、集中力、注意力を高める効果があります。その効果で、意欲が向上したと感じることが多いようです。
注意しなければならないのは、その効果によって、不眠、多動、イライラが現れることもあります。
薬の増量によって、そういった症状も加速します。
このような覚醒を促す薬なので、通常は朝飲むように医師から指示があると思いますが、一度見直してみてください。
薬による覚醒状態によって、暴言・暴力が現れる可能性も考えられるので、薬の量や飲む時間などを確認して、疑問に思うことがあれば、医師に相談する。もしくは、ケアマネジャーに事情を説明して、文書で医師に相談することもできます。

まとめ
認知症の方の暴言・暴力は、ご本人はもちろんのこと、介護する側のストレスも軽減することが大切です。パーソンセンタードケアの核となる考えに、パーソンフッドというものがあります。これは、「一人の人間として周囲に受け入れられ、尊重されること」を意味しています。これは、認知症の方だけでなく、全ての人に必要なことです。頑丈な心の器を作り、自分を大切にして、心の器から溢れたものを、相手に差し伸べていきましょう。

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