①BPSD(行動・心理症状)とは
②幻覚・妄想・焦燥・攻撃性に対する薬物治療
③抑うつ・無気力(アパシー)に対する薬物治療
④不安・緊張・易刺激性
⑤薬物に頼らないアセスメント
⑥まとめ
①BPSD(行動・心理症状)とは
BPSD(行動・心理症状)とは、環境の変化や人間関係等により、
◎暴言・暴力・妄想などの行動症状
◎抑うつや不安などの心理症状
上記のような症状がみられることです。
その症状にはどんな背景(原因)があるのか、考えて対処することが必要です。
薬物で対処することは、好ましいとは思いません。しかし、認知症の方ご本人も辛くて症状が出ているのであれば、医師とよく相談して薬物での対応も必要かと思います。
②幻覚・妄想・焦燥・攻撃性に対する薬物治療
幻覚・妄想・焦燥・攻撃性は、コリンエステラーゼ阻害薬(認知症の薬)の投与開始時や、増量時にみられることがあります。
様子をみても改善しない場合は、減量か中止して、抗精神病薬や抑肝散(漢方)などの投与の検討をします。
※コリンエステラーゼ阻害薬とは:情報を受容体に運ぶ、アセチルコリンという物質があります。筋肉運動や学習、記憶、認知機能などに関与しています。
そのアセチルコリンをコリンや酢酸に分解しようとする、アセチルコリンエステラーゼという物質が、神経細胞間の情報伝達のバランスを保つ役割を持っています。しかし、異常な働きをしてしまうことによって、情報伝達のバランスが悪くなり、認知機能の低下がみられると考えられています。
アセチルコリンの分解を防ぐための薬を、コリンエステラーゼ阻害薬といいます。
詳しくは以前ブログで書いてありますので、もしよろしければ参考にしてください。
投稿を編集 “認知症ケア~薬物療法(レカネマブについても)~” ‹ 私らしく、あなたらしく、自分らしく — WordPress (otoshiyorinoegao.com)
③抑うつ・無気力(アパシー)に対する薬物治療
抑うつ・無気力(アパシー)の場合もコリンエステラーゼ阻害薬の副作用により、この症状が出る場合があります。
コリンエステラーゼ阻害薬は中止し、抗うつ薬に切り替える検討をします。
④不安・緊張・易刺激性
抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬の検討をします。ただし、認知症が中等度以上の場合は、抗不安薬は副作用によって意力や認識能力が低下を悪化させる場合があるので注意が必要です。
⑤薬物に頼らないアセスメント
冒頭で、「症状にはどんな背景(原因)があるのか、考えて対処することが必要」と述べました。薬物を使用する前にまず支援者全員でアセスメントをしましょう。そのためのツールとして、ひもときシートアシストというものがあります。
「病気と薬の影響」
「健康状態の影響」
「本人要因(性格、生活習慣等)」
「人的環境・物的環境」
これらを、支援者で推測して、それを裏付ける情報収集を行い(いくつかの情報収集のシートがあります)、その上で仮説を立てて、支援します。
仮説が違っていれば、必要に応じて別のシートを使うなどして、再度情報収集して…
この繰り返しです。
⑥まとめ
まずはひもときシートアシストなどを利用して、なぜBPSDが表われているのか考える必要があると思います。薬の影響を考える項目もありますので、支援方法に困った!という時には利用してみてください。