認知症ケア~メタ認知と社会脳~

投稿者: | 2023年6月11日

目次

1メタ認知とは

2社会脳とは

3本人の想いを聴く

4メタ認知の障害こそが認知症の本質

5障害の受容

6社会脳の働き

7認知症と社会脳

8社会脳の機能に影響を与える共感

9間主観性

10介護職に求められること

11まとめ

1.メタ認知とは

自分の認知機能をどう認知しているのか→

自分の判断や理解、記憶などの認知活動を監視・コントロールする認知機能

2.社会脳とは

他者の認知や感情をどう推測するか→

他者の脳の中・心の内を推測して自己の行動を選択する認知機能

3.本人の想いを聴く

ケアをしていて、入浴や服薬の拒否があった時にどうされていますか?

介護者の推測だけで、ケアしていることがないでしょうか?

入浴をお誘いをして、「入らない」と利用者の方がおっしゃった時に

「それはなぜなのか」

ということを本人に聴いてみてください。うまく答えが出せなければ、「はい」「いいえ」で答えられる質問(閉ざされた質問)をしてみてください。それでも、聞き出せなかった時、意味のない本人への質問だったかというと、そうではありません。「自分の気持ちを聴いてくれる」という安心感のような感情は残ります。また、再度アセスメントをして、本人が言った一言や表情など日頃から、記録しましょう。それが、ケアのヒントに繋がることがあります。

4.メタ認知の障害こそが認知症の本質

アルツハイマー型の認知症の方は、記憶障害があります。

しかし、ご自身では記憶の機能について過大評価しています。

これが障害でありながらも、それを過小評価している→メタ認知の障害

これが「病識低下」です。

メタ認知が保たれていれば、記憶障害に対して何らかの対策をして、生活の障害を回避する方法を考えることができます。

しかし、それが難しい状態なため、記憶障害(見当識障害等も含め)が生活障害となります。

つまり、この病識低下こそが、認知症の方の本質です。

5.障害の受容

認知症になったことを、オープンにすることで、

「サポートしてくれる人がたくさんできた」

という例もあります。

日本の現状では

認知症になって恥ずかしい

家族に迷惑をかけるなら死にたい

そうのような発言が多くみられます。

しかし、逆に隠していると「あの人とは関わらない方がいい」と、陰口を言われたりすることがあるようです。

「例え認知症を患っても、笑顔で暮らしている人がいる」

そのことを、支援者は伝えていくことが必要であるし、実際にそのような地域づくりも必要ではないかと思います。

6.社会脳の働き

「心の理論」という社会脳→

他者の信念・意図を推測する認知機能

・社会脳「他者心理の推測」

相手の表情・視線・姿勢・動作などから相手の気持ちを察知する認知機能(情動的表情認知)

「行動選択」

利己・利他の行動選択(自分のことばかり考えていると、他社からの反発を受ける。だから、利他的な選択もする)

7.認知症と社会脳

アルツハイマー型認知症の場合→

メタ認知は障害されますが、社会脳は比較的保たれて、それで取りつくろうことがあるのです。

また、他者からの質問に対して、精一杯答えようとしたり、他者からの評価を下げたくない思いで取りつくろいますが、これは社会脳が機能しているのです。

8.社会脳の機能に影響を与える共感

・喜びを分かち合う正の共感

・悲しみを分かち合う負の共感

・他者の不幸に快感を覚える(他人の不幸は蜜の味)

・他者の幸福に不快を感じるねじれた共感(嫉妬)

認知症ケアでは共感的態度が求められます。

「心の理論」を働かせて、ある程度の距離感を持ち相手の気持ちを推測して共感します。そうすると、支援側のダメージは受けません。

また、共感を支援行動に結びつける共感は、介護職に求められます。

9.間主観性

自己の主観と他者の主観が、一緒に作り上げる第3の主観→

介護者と当事者の双方の心の交流が大切

ユマニチュードより

「相手を一人の人間として大切にするケア」

それにとどまらず

「相手が私は大切にされていると感じることができるケア」

が大切としている。

そこで、ケアする側に「心の理論」が必要になります。

ケアする相手に「大切にしている」思いが伝わるように積極的に関わる必要があります。

10.介護職に求められること

先にも述べましたが、ケアする側が推測したことはそれが正しいか本人に確かめる必要があります。

試行を表現することが難しい方も、表情はほぼ正確です。

また、平常心でいることも気づきに必要です。色々な感情を持っていると、バイアスとなって、

認知が歪みます。なので、平常心で客観的に関わることが大切です。

11.まとめ

「認知症の方のケアをしている私」

という自己に対するメタ認知をしっかりと持ち、認知症の方の、思考・意図・感情を社会脳で捉え、

共感的態度で、感謝を伝え、褒め合い、間主観性を意識して、支援者と本人の双方向の心の交流で、ウェルビーイングを目指していきましょう!

認知症ケア~メタ認知と社会脳~」への1件のフィードバック

  1. 鷺谷公平

    めっちゃ勉強になります!!
    読んでいてすごく感じたのが
    『日常的にメタ認知や社会脳、共感的態度 などを訓練していかなければいけない』

    ケアだからできる

    っというより

    普段からやっているからできるっと
    かなり個人のステータスが大切になる気がしますね✨

    さらに言えば
    そのステータスって
    介護や医療など
    心身を援助する人たちは
    すごく重要だと思いました💡

    なぜなら
    このステータスが欠けていると
    自己中心的な目線で捉えがちになってしまう。

    なので
    この能力の必要と培う方法は
    どんどん発信していきたいですね☺️

    はい長文失礼笑

    返信

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