認知症に対しての誤解
認知症になると「なにもわからなくなる」「なにもできなくなる」と思われる方がいらっしゃるようです。
物忘れがあるから「何を言ってもすぐ忘れるだろう」と思われるかもしれません。確かに、物事を記憶することは徐々に難しくなっていきます。しかし、認知症の方の多くは、自分が忘れたことに気付いています。そして不安になってしまいます。
また、物事やエピソードを忘れても、感情は残ります。「誰か」は忘れても、信頼していい人に対して安心感を持つことができます。
認知症を持つ方の苦しみ
ご家族もそうかもしれませんが、自分が認知症の診断を受けたことへの否認からうつ状態になることもあります。そして診断がついた瞬間から、周りから「何を言ってもすぐ忘れる」「何もできない人」と思われてしまいます。人前でミスすることで自尊心が傷つき、自分でできることもやらせてもらえなくなることで自信を失っていきます。
認知症を持っても「自分らしく」生きることはできる!
まず周りが「そのままのあなたで大丈夫」「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを送り続けることです。
物事を忘れたり、時間や場所、人(誰なのか)がわからない状況下で、認知症を持つ方は常に不安を持ちながら生活をしています。
そのための安心感として、上記のようなメッセージをお送り続けることが必要です。
今まで得意としてきたことをしていただいたり、また家事仕事を行い、他者貢献することで、認知症を持つ方が自信を持ったり、存在意義を感じることができます。
例えば得意としてきたことを、全て一人でできなくても、最小限のアドバイスをすることで、自尊心を傷つけずに達成できます(どの程度のアドバイスや手助けが必要かはその方の認知機能の程度によります)。
家事仕事として、例えば料理ですが、様々な工程があり、それを順序だてて行うことに障害があります(遂行機能障害といいます)。その場合にもさりげないサポートで、料理をすることもできます。
若い頃から行ってきたことは体が覚えていることが多いので、アドバイス等必要ない場合もあります。
認知機能の状態に合わせてサポートすることで、例え認知症を持ったとしても生き生きと生活を送ることができます。また、ポジティブなかかわりをすることで、サポートをする側も、癒しを実感できると思います(イライラしてしまうこともあるとは思いますが)。癒し癒される相互の関係ではないかと考えています。