認知症の方の症状で、時間や場所、人の認識が難しくなります。一般的に、「時間→場所→人」の順番で、認識することが難しくなっていきます。この症状に、どうアプローチすればいいか、解説していきます。
◎リアリティーオリエンテーションとは?
現実見当識訓練のことで、見当識を改善するための技法です。
◎見当識とは?
人・時間・場所を認識すること。
時間や場所は時々刻々と変化するので、それを最新のものにする必要があるものの、認知症の方で記憶障害があれば、その認識が難しくなります。それが「見当識障害」です。
これを改善しようとするのがリアリティーオリエンテーションですが、元来認知症の方にとって、障害となって(見当識障害)いる部分でもあるので、実施することでストレスがかからないよう注意することが必要です。
◎リアリティーオリエンテーションの実践
- 環境の整備:大きな時計やカレンダーを設置し、日付や時間が常に確認できるようにします。明るく、分かりやすい環境を作ることが重要です
- 日常的な情報の提示: 毎日の日付、天気、予定などを伝え、認知症の方が現実の流れを把握できるように支援します。
- 個別対応: 認知症の方が自身の現在の状況を理解し、適応するのを支援することに焦点を当てます。時間の把握が難しいのか、場所の把握が難しいのか個別に対応する必要があります。
- ご家族のサポート:ご家族がリアリティーオリエンテーションの方法を理解し、日常生活で実践できるようにすることも大切です。
◎まとめ
リアリティーオリエンテーションは、認知症の方の不安を軽減し、生活の質を向上させる効果が期待できます。しかし、上記にもありますが、強制的に現実に引き戻そうとするとストレスを与えることもあるので、感情や反応に注意しながら、優しくガイドすることが重要です。
近年、海外ではリアリティーオリエンテーションを改良して、認知機能全般に働きかけを行う、
「Cognitive Stimulation」
が主流になりつつあります。それについては、また後日解説します。