私の勤める施設で、昼食後に昼寝をしていただいています。
しかし、昼寝の習慣がない方もいるし、昼寝をしてもすぐに「帰らなきゃ」と、起きてくる方もいらっしゃいます。
それぞれの生活習慣があります。そこで、昼寝することを強要する必要はどこにもありません。
その昼寝の時間が、スタッフが唯一ゆっくり休める時間です。スタッフが休憩をしたいばかりに、昼寝から起きてきた利用者さんに注意をしていました。
直ぐに割って入り、利用者さんに、ソファへ移動して頂いて、距離を置いていただきました。
不安を抱えながら、「帰らなきゃ」と起きてきた利用者さんに、「注意する」という選択肢は、私にはありません。むしろ、丁寧に真摯にその方の不安に寄り添って、話を聞かせて頂く必要があると思います。
職員の休憩時間がしっかりと確保できていないことも、課題ではあります。
だとしても、利用者さんは敬うべき存在だと思います。普通に考えて、目上の方であり、人生の先輩であります。そして、私の施設は認知症を持っている方がほとんどです。不安や焦りを抱えながら、過ごしている。だからこそ、安心感を与えられるような関りが求められると思います。
先日より、心理学を学んでいます。
それぞれのケアは「違うけど、間違えではない」。どんな行動も建設的な(ポジティブな)目的があると、学びました。しかし、認知症ケアにおいて、基本的に「注意する」「指導する」。これは例外ではないかと思います。
例えば、このようなアプローチがあります。
「人格と尊厳の尊重」認知症を持つ方も、尊厳を持った個人です。そのため、その人格を尊重し、可能な限り自尊心を傷つけない方法を選ぶべきです。
「ポジティブな接近法」強制的や指導的なアプローチよりも、肯定的な強化を用いることで、より良い結果をもたらすことがあります。例えば、認知症の方に対して肯定的なフィードバックを与えることが挙げられます。
「環境の調整」認知症を持つ方が自立して行動できるように、環境を調整することも重要です。安全でわかりやすく、利用しやすい環境を整えることが必要です。
「パーソン・センタード・ケア」それぞれの認知症を持つ方に合わせた、個別のニーズに応えるケアを心がけることが重要です。興味や過去の経験、好みを考慮に入れることで、より効果的なケアが可能になります。
認知症を持つ方が、直面している困難を理解し、できるだけ自立した生活を送れるよう、支援することを目指しています。単に「注意する」「指導する」という方法よりも、より配慮深いケアのアプローチが必要だと思います。
パーソンセンタードケアを学びたい方、認知症ケアを学びたい方に読んで頂きたい本。