因果関係の観点から
アミロイドβはアルツハイマー型認知症の主要な病理学的特徴の一つであり、脳内にアミロイドβのプラークが蓄積することが、アルツハイマー病の初期段階で見られることが多いです。このため、アミロイドβがアルツハイマー病の原因であるとする「アミロイドカスケード仮説」が提唱されています。この仮説によれば、アミロイドβの蓄積がタウタンパク質の異常を引き起こし、神経細胞の死滅をもたらすとされています。
相関関係の観点から
一方で、最近の研究では、アミロイドβがアルツハイマー病の進行において重要な役割を果たすものの、単独ではアルツハイマー病の発症を完全に説明することはできないという見解も増えてきました。実際、アミロイドβの蓄積が認知機能の低下と必ずしも一致しないことや、アミロイドβの蓄積があってもアルツハイマー病を発症しない人々がいることが確認されています。
最新の研究動向
現在では、アミロイドβ以外の要因、例えばタウタンパク質の蓄積、神経炎症、ミトコンドリア機能障害、血管障害などがアルツハイマー病の進行に寄与していると考えられています。したがって、アミロイドβとアルツハイマー病の関係は、因果関係というよりも、多因子が絡む相関関係であると捉えられつつあります。
まとめ
総合的に見て、アミロイドβはアルツハイマー型認知症において重要な役割を果たしているものの、他の多くの要因も関与していることから、因果関係というよりは相関関係であるとする見解が主流になりつつあります。今後の研究によってさらに明確な理解が進むことが期待されています。
考察
生活習慣を見直せば、認知症になるリスクを減らすことはできるかもしれませんが、そこに因果関係はありません。よっぽど生活習慣が悪ければ別です。しかし、いくら生活習慣を気を付けても、病気になるのと同じで、認知症も然りです。つまりは、認知症は自然の営みに過ぎないのです。
認知症予防も大切です。しかし、もっと大切なのは、「自分らしく生きているか」です。
自分らしく生きることが出来る社会。そのためには、誰もが暮らしやすい街、文化を作り上げていく必要があります。そのためには、専門職だけでなく、地域住民の方、企業など、他人ごとと思わずに、「地域丸ごと」で取り組む必要があると思います。