認知症をもつ方とお話しているときに、事実ではないと思うような内容の時があります。
その時、その方は「ウソ」をついているのでしょうか?
それとも、ただ妄想の内容を話しているのでしょうか?
私はそうではないと思います。
たとえ事実とは異なっていても、その方にとっては「現実」です。
たとえ妄想のように思える話でも、それは単なる会話ではなく、「伝えたい」という思いが込められていると思います。
そして、それが事実かどうかを確かめる必要はありません。
事実とは異なる内容の話は、「広げないように」と教育された方も多いかと思います。
また、職場では、「そんなに真剣に聞かなくてもいい」と言われた経験がある方もいるかもしれません。
私は、逆にその話の中に飛び込んで、じっくりと聞きます。
そして、困りごとがあるのであれば一緒に考えます。
これは、単に話を聞くという一つの意味をもっているのではありません。
それは、「その方を尊重し、受け入れる」ことにもつながります。
認知症をもつ方が、この「アナザーワールド」の話を真剣に聴いてもらう機会は、少ないと思います。そして、周りからの理解がなく、孤独を感じながら生きている方が多いように感じています。その結果、自尊心は衰退していきます。
だからこそ、認知症をもつ方の話に興味を持って、「事実」として聞くことが大切です。
そして、その「事実」に苦しんでいるのであれば、一緒に解決するにはどうすればよいか考えていきます。
「べてるの家」を設立した向谷地生良さんの言葉を借りると、そうすることが、「孤独からの解放」と「自尊心の回復」につながると思います。
そうすることで、お互いに心穏やかに、「共に」過ごす時間を持つことができるのではないでしょうか。