ナラティヴ(物語)・セラピーとは
心理療法の一つです。
「問題」は、当事者や関係者に問題があると捉えがちです。
柱になる考え方は
「人も人間関係も問題ではない。問題が問題である」
ということです。
「問題を抱えた人」と「問題」を切り離して、「問題そのもの」を解決することで、
その人らしさを取り戻していく。
それがナラティブ・セラピーです。
小難しいことを言ってしまいましたが…
「問題」というのは社会で作られているもので、それがその人を悩ませているのです。そのことで、その人らしく生きることを困難にさせています。
問題をその人から切り離すことで、その人が責められることも回避できます。
ナラティヴ・セラピーの実践
専門職として関わろうとすると、
「いい方向にもっていかなければ」「解決しなければ」
と思いがちです。しかし、そのプレッシャーから、その方やご家族に意見を押し付けてしまうことがあるので注意が必要です。
「知らない姿勢」と敬意を持って話を進めていく必要があります。教えてもらう姿勢が大切です。
実践の会話では、「行為の風景」を尋ねる質問と、
「意味やアイデンティティの風景」を尋ねる質問を織り交ぜると、
会話が広がり、新たなストーリーを生み出すことにもなります。
「行為の風景」に関する質問とは、どうやってそのことを成し遂げられたのかということ
「意味やアイデンティティの風景」に関する質問とは、行動や振る舞いにどういう意味があるのか
ということを尋ねます。
例えば…
「最近登山に凝っている」という話
「なぜ始めようと思ったんですか?」(意味の風景)
「登山をするにも、歩く練習をしたりしたと思いますが、忙しい中どんな工夫をして練習をしたんですか」(行為の風景)
といった感じです。
質問によって差異を認識し、またさらに質問をしていく。そうすると新たな意味の発見ができます。
そのことによって、「あたりまえ」が「あたりまえでなくなる」のです。
常識が正しいとされていることが、悩みや問題を生みます。
だから、
「あたりまえ」を「あたりまえでなくなる」ように、会話を進めていくのです。
例えば、学校に行くことが「あたりまえ」になっています。でも、それがあることによって、不登校という問題を作っています。
だから、個人と問題は切り離す必要があるのです。
あたりまえがあたりまえに見えなくなるきっかけとなる質問をすること、
そして、
新たな現実を築くための対話につながる質問を投げかけることが重要です。
認知症ケアでのナラティヴ・セラピー
認知症の方は、個人の記憶、認識、判断力など認知機能の低下がみられます。そのことによって、アイデンティティや自分の生きてきた記憶の維持が困難となってきます。
過去の記憶は比較的保たれますが、病状が進行すれば記憶は薄れていきます。
援助者はよく、利用者さんの過去の話を聞くことがあると思います。それも一種のナラティヴセラピーに当たります。そういった話をすることで、過去を再構築する手助けをします。これによって、利用者さんのアイデンティティや自己の意味づけを維持することができます。
認知症の方と関わる時も、「知らない姿勢」で敬意を持ってお話することが大切です。
会話中に、「意味の風景」や「行為の風景」を意識できると、新たな発見があるかもしれません。それが、ケアにもつながっていくのだと思います。
そして、「あたりまえ」から切り離して(援助者の価値観も含め)かかわることが大切です。そして、利用者さんに人生という物語(ナラティヴ)を語っていただくと、アイデンティティの維持に繋がると思います。
参考文献
「今日から始まるナラティヴ・セラピー きぼうをひらく対人援助」著者:坂本雅哉
ナラティヴ・セラピー知らない方でもわかりやすく書いてあります。私も、入門書として読ませていただきました!
なるほど💡
ナラティブセラピー
言語化できずにいたので、すごく勉強になります✨
『当たり前=普遍的に見える価値』の思い込みが
問題とその人を分離する過程を障害しているんですね!
その上では
問う側がまず『自分の価値を疑い』
相手への認識をクリアにしてあげることが大切なんだと
感じました!
ありがとうございます❗️
コメントありがとうございます!
こちらの方こそ勉強になりました!認知症ケアを勉強する上で、心理学も勉強していきたいと思います。
またブログ投稿しますので、ご覧いただけたら嬉しいです!