ネガティブ・ケイパビリティとは、答えを急がず、答えの出ない状況に耐えながら、物事の本質を見極めていくことです。
現代は「VUCAの時代」と言われています。
・不安(Volatility)
・不確実(Uncertainty)
・複雑(Complexity)
・不明瞭(Ambiguity)
このような特徴を持つ、複雑で先の見えない時代です。
求められるものは、「問題解決能力」=ポジティブ・ケイパビリティなのです。
しかし、答えを急ぐ、もしくは早さを求められることで、本質的な答えではなく、「わかったつもり」になって、出す答えになる恐れがあります。
・答えを急がない力
悩みや迷いがあることが問題ではなく、その問題に真摯に向き合っているかが問題です。色々な葛藤を持ちながら、耐え続けます。
何かモヤモヤしていることがあるとそれを散らしてしまう(逃げる)(これをディスパーサルといいます)。「散らしたい」というプレッシャーがかかった時こそ、ネガティブ・ケイパビリティの出番です。わからない状態に耐え続け、問い続けます。
・ネガティブ・ケイパビリティを持つことでできること
答えを急がず、葛藤し続ける、耐える力を持つことが出来ることで、不安や不確かさ、曖昧さに動じず、自分の非も、他人の失敗も、認め、許すことができます。
つまり、ネガティブ・ケイパビリティとは、心の器の大きさを示すものでもあります。
自分の思い通りにならないと不機嫌になるというのは、ネガティブ・ケイパビリティがないということ、心の器が小さいということです。
ネガティブ・ケイパビリティの力をつけることもできます。
瞑想をしたり、定期的に一日自分と向き合う時間を作ることで養えます。
・介護現場等でも活きる、ネガティブ・ケイパビリティ
介護現場などで、傾聴することがあるかと思いますが、ネガティブ・ケイパビリティは傾聴を支える力となります。答えを急がない、ジャッジしない、アドバイスをしない等、そういった面で傾聴する力がつきます。
また、ケアをする上で問題が起きた時、すぐにケアの方法の答えを出さず、検討し、パターンや構造を理解してから、ケアの方向性を決めることが必要です。
職場に限ったことではありませんが、謙虚で素直な心を持ち、「自分が正しい」「自分が偉い」といった考えを捨て、人の意見を受け容れる力をつけることが、ネガティブ・ケイパビリティによってできます。上司も同僚も、みんながためらいもなく発言できる、そして否定しない、そんな環境づくりに役立つ考え方でもあります。
ネガティブ・ケイパビリティを活かすことによって、本質的な考えのもとに、根拠のある、よりよいケアができるのではないかと思います。
・最後にこの言葉
「君の意見に賛成はしないが、君がそう考える気持ちはわかる」
参考図書