デイサービスに行きたくない理由とは?感情を尊重した最適な対応策

投稿者: | 2024年10月16日

認知症の方に限ったことではありませんが、デイサービスに行くことを嫌がる方が時々いらっしゃいます。それを、悪いことのように捉えている訳ではありません。ご本人の意思はしっかりとあります。
では、どのような対応が好ましいのでしょうか。「意思決定支援」の視点から解説します。

大前提として、話し合いの場にご本人が同席するようにしてください。ご本人の「意思」のもと、デイサービスの利用を検討するからです。

ご本人の感情や嗜好を知る
デイサービスといっても、様々な特徴のあるものがあります。運動を中心に活動していたり、イベントに力を入れていたり、多様な趣味活動ができる所であったり、認知症対応型通所介護(認知症の方が専門的なケアを受けながら日中を過ごすデイサービス)と、探せばもっと多様な取り組みをしているところもあります。
ご家族のご都合やお仕事、入浴が家でできない、またはレスパイト(ご家族の休息のため)的に、デイサービスの利用を検討されているケースが多いと思います。
まずは、ご本に事情を説明して、デイサービスに行くかどうかお聞きしましょう。
この時に「本人に説明しても理解できない」という思いは、捨てましょう。そして、ご本人の気持ちを聴くときには、話しやすい環境づくり等をします。
・安心できる場所
・時間
・タイミング
・体調の良い時
・気分の良い時
・声の大きさ
・声の柔らかさ
・距離感

また、ご本人に合わせた伝え方で伝える
・口頭
・書字
・身振り手振り
・絵

どのような嗜好があるのかを聞いてみる
・麻雀が好き
・運動がしたい
・畑仕事がしたい
・手芸がしたい
・習字がしたい
他にもたくさんの嗜好があると思います。ご本人の嗜好に合ったデイサービスであれば、ご本人も「行きたい」と思うかもしれません。ただ、注意したいのは、デイサービスの利用ありきで、結論へ誘導しないことです。
ご本人には「デイサービスに行かない」という選択をする権利もあります。

デイサービスを見学する
デイサービスに行くことに気が乗らない時に、ケアマネジャーお勧めのデイサービスを聞いて、ご本人の同意のうえで、一緒に見学することは、良いことだと思います。
単に「デイサービス」と言われても、想像がつかなですし、嗜好に合ったデイサービスを見学することで、意欲が高まることもあると思います。


長谷川式認知症スケール(認知症検査)を開発した、長谷川和夫先生は、ご自身も認知症を持つことになりました。認知症を持つことになってから、出版された本に
「デイサービスもなかなかです。私が楽しみにしているのは入浴サービス。至れり尽くせりで、まるで王侯貴族になった気持ちですよ。」
と述べられています。
このような話をご本人にしてもいいかもしれません。

まとめ
いずれにしても、「ご本人が行きたくない」と意思がしっかりされていれば、一筋縄では解決しません。1回の話し合いだけでなく、2回3回とタイミングをみて、話し合ってみることも必要です。
また、ケアマネジャーと相談をして、デイサービス以外の介護保険サービスや、介護保険外の地域のコミュニティに参加するのも一つの方法です。地域のコミュニティでしたら、ケアマネジャーもしくは、地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。
ただ、ご本人を「説得する」というスタンスはやめましょう。「行きたくない所に無理やり連れていかれた」という経験による負の感情は、記憶として残ります。この「負の感情」は、行動として現れる(BPSD:心理の症状で、具体的には、幻覚、妄想、不安、興奮、暴力、徘徊など)ことがあります。そうすると、ご自宅での介護がより難しくなります。
ご本人の意思を尊重することは、ご家族の介護負担の軽減にも繋がります。そして、そういった心持で介護をすることで、ご本人もご自宅での生活に安心感を持つことができ、それは、ご家族も心に余裕が生まれてくると思います。
簡単なことではないと思います。でも、このような対応を試してみてください。ご家族の穏やかな感情は、鏡のように、ご本人に映ります。

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