失禁が増えた方に対して
「お食事の前に、お手洗い行っておきませんか?」
とお誘いすると
「さっき行ってきたからいいです。」
としっかりとした口調でおっしゃりました。
「そうですか。失礼しました。」
と伝えそれ以上お誘いしませんでした。
すぐに昼食になるので、その後でと判断しました。
しかし、他のスタッフに、その方の排泄について聞かれ、事情を説明しましたが、それを無視して、高圧的に誘導してお手洗いに行ってしまいました。
確かに、失禁しないことは大切です。しかし、それ以上に自尊心を傷つけないことの方が大切だと私は思っています。
この方は、「自分のことは自分でやる」という思いが強い方だと私は思っています。そんな方を、強引にトイレにお連れするということは、自尊心が傷つき、これを繰り返していけば、意欲低下、自信喪失、うつ状態、そんなことが危ぶまれます。
しかしながら、認知症の方の安全と健康を守るために、介護者主導になる場合はあります。
認知症の方の尊厳を保持し(本人本位)、QOL(生活の質)の維持、向上を目指していくためには、介護者主導と、本人本位のケアのバランスが大切だと思います。
ケアで迷いや違和感があったら、カンファレンスを開くなどして、その方にとって最良のケアを検討する必要があると思います。
日本ではこういう話が後を断ちませんが、やはり認知症にはストレスが少ないほど良いというオランダとかフランスとかに代表される欧州的な考え方が理解された施設がもっと欲しいと思ってしまいますね。もちろん日本とは事情も違うし死生観も違うし、何より補助の制度も根本的に違っているので簡単ではないと思いますが、それでも日本の現状は問題が多すぎ、その問題の多くが改善可能なように思える、今日この頃です。
コメントありがとうございます。認知症の方は日々ストレスを感じて生活を送っていますよね。その軽減、そのための安心感を作っていくことが必要と考えています。