すべての人の尊厳を守るために 〜パーソンセンタードケアとパーソンフッドを見つめ直す〜

投稿者: | 2025年3月30日

認知症ケアをされている方は、パーソンセンタードケア(以後PCC)をご存知の方が多いかと思います。改めて、パーソンセンタードケアについて、考えてみたいと思います。

PCCとは何かという問いに一言で説明するのは難しく、提唱者のトム・キットウッドもシンプルな説明をしていません。
chat GTPに「PCCを説明してください」と聞くと
「その人らしさを尊重し、個別のニーズや価値観に基づいて行うケア」
と返答がありました。
間違いではありませんが、もっと多角的に考えられた概念です。

今回は、PCCの中で、とても重要な「パーソンフッド」という概念について考えていきます。

キットウッドの著書の中では、「パーソンフッド」はこのように説明されています。

「一人の人として、周囲の人や社人会とのかかわりを持ち、受け入れられ、尊重され、それを実感している。その人のありさまを示す。人として相手の気持ちを大事にし、尊敬し合うこと、互いに思いやり、寄り添い、信頼し合う、相互関係を含む概念である」

わたしが注目したいのは、パーソンフッドを語る上で、「認知症」という言葉を用いていないこと。
そして、「相互関係を含む概念である」ということです。

PCCの対象は認知症をもつ方だけではない

PCCを考える時、「認知症をもつ方を中心に」という解釈は、間違ってはいないと思いますが、多くの人がそのような捉え方をしているように感じます。

たとえ認知症をもつ方でも、「一人の人」であることはかわらない。だからこそ、認知症をもつ方と支援者というような隔たりを無くしたのだと思います。

実際に、PCCは認知症をもつ方だけでなく、すべての人に対する概念であると、キットウッドは述べています。

「相互関係を含む概念である」ということ

認知症をもつ方はもとより、ご家族、介護従事者など専門職の方、地域住民の方、この社会に生きているすべての人の、パーソンフッドが守られることが大切です。
そのことによって、人々の心の安寧(あんねい)がもたらされて、結果的に認知症の方の心の苦しみを軽くすることができる。連鎖するように、ご家族、介護従事者などの専門職、地域住民の方が協力し合って、心穏やかに認知症介護にかかわることができると思います。

また、誰も排除しない。誰もが、この社会で生きる権利を持っている。そんなメッセージも込められているように、私は感じています。

今、「共生社会」が謳われていますが、どこか絵空事のように感じている方が多いのではないでしょうか。
しかし、すべての人のパーソンフッドを守ることが、「共生社会」を実現させる一助となります。PCCを土壌にしていくことで、「共生社会」がより実現化していくと思います。